- 生活機能向上連携加算で実際いくら収益が増えるか(算定者数別の試算)
- 外部PT連携にかかるコストの考え方
- 「割に合わない」という感覚がどこから来るのか
- 費用対効果の判断に必要な視点
第2回では、生活機能向上連携加算を算定していない理由として、「コスト・手間に対して単位数が割に合わないと感じるため」が35.9% という公的調査の結果を確認しました。3施設に1施設以上が「割に合わない」と感じて動いていないわけです。
ただ、この「割に合わない」という感覚は、正確な試算に基づいているのでしょうか。この記事では、数字を整理したうえで費用対効果を考えます。
まず「収益側」を整理する
生活機能向上連携加算(Ⅱ)の単位数は、1人あたり月200単位です。介護報酬の単価は地域によって異なりますが、1単位あたりおおむね10〜11円で計算されます。ここでは1単位=10円として試算します。
※1単位の単価は地域区分によって異なります(10〜11.12円)。
施設の規模が大きいほど、加算収益のインパクトも比例して大きくなります。算定者数が多い施設ほど、この加算の収益への影響は無視できません。
次に「コスト側」を整理する
この加算を算定するために発生するコストは、大きく2つです。
- 現場スタッフの書類作成の手間
- 評価・更新サイクルの運用負担
- 連携先を探す手間・調整コスト
① 外部PT連携にかかる委託料
算定要件として、施設は連携先の専門職機関と委託契約を締結し、対価を支払う必要があります。委託料の金額は双方の合議によって設定されるものとされており、厚生労働省は具体的な金額を定めていません。
② 計画書作成・管理にかかる現場の手間
訪問アセスメント後、個別機能訓練計画書を作成・更新し、3ヶ月に1回以上の評価と利用者・家族への説明が必要です。この運用工数が、現場スタッフの負担として見えにくいコストになりやすい部分です。
「割に合わない」の正体
「割に合わない」という感覚の多くは、②の現場負担が見えやすく、収益が見えにくい状態から生まれていると考えられます。
連携先がそもそも見つからない、あるいは見つかっても委託料の交渉や契約手続きが煩雑、さらに計画書を一から整備する必要がある——これらが重なると、「加算が取れるかどうかわからない段階」で先に手間とリスクだけが見えてしまいます。
ただし、これはコスト構造と収益の組み合わせ次第で変わる話でもあります。
収益とコストを並べて見ると
たとえば算定者数100名の施設で生活機能向上連携加算(Ⅱ)200単位を算定した場合のイメージを示します。
加算収益の範囲内で連携コストをまかなえる設計ができれば、施設側の実質的な持ち出しを抑えたまま算定を継続できます。重要なのは、加算収益とコストのバランスを事前に試算して判断することです。算定者数・サービス種別・個別機能訓練加算の有無によって収益規模が変わるため、「割に合うかどうか」は施設ごとに異なります。
コスト構造が変わると、判断も変わる
「連携先を自力で探す」「計画書をゼロから整備する」という従来のやり方では、確かにコストと手間が重くなりやすい面があります。
一方で、外部PT連携の確保・計画書作成・現場定着までをまとめて支援する仕組みを活用することで、運用コストを加算収益の範囲内に収めながら継続算定できるケースがあります。
「割に合わない」という判断をする前に、現在の運用コスト構造が本当に最適化されているかどうかを確認することが重要です。
まとめ
生活機能向上連携加算の費用対効果は、算定者数・サービス種別・連携コストの設計によって大きく変わります。「割に合わない」という感覚は、収益が見えにくいまま負担だけが先行する構造から生まれやすく、正確な試算なしに判断されているケースが少なくないと言われています。
次回は、この加算の書類・運用負担の実態と、個別機能訓練加算との計画書転用でコストを下げる考え方を整理します。
・厚生労働省「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」(平成30年3月23日)
・厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」