「グループホームでも算定できるとは聞いたけれど、実際どうすればいいのか分からない」という声をよく聞きます。通所介護と違い、グループホームには「個別機能訓練計画書」の様式が制度上定められていないため、計画書の準備をどうするかが特有の論点になります。この記事では、算定要件の確認から計画書の実務対応まで整理します。
1. グループホームも算定対象です
生活機能向上連携加算は、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)も算定対象です。2018年(平成30年)度の介護報酬改定で多くのサービスに拡大され、2024年(令和6年)度の改定でも算定要件に変更はありません。
参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(令和6年1月22日)
2. 単位数
| 区分 | 単位数 |
|---|---|
| 生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 100単位/月 |
| 生活機能向上連携加算(Ⅱ) | 200単位/月 |
(Ⅱ)を算定している場合、(Ⅰ)を重ねて算定することはできません。PTmateが対象としているのは、専門職が施設を直接訪問する加算Ⅱです。
参考:厚生労働省「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
3. 算定要件(Ⅱ)の詳細
外部の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師が施設を直接訪問し、計画作成担当者と共同して以下をすべて満たす必要があります。
- 利用者の身体状況等のアセスメントを共同して実施すること
- 生活機能の向上を目的とした認知症対応型共同生活介護計画を作成すること
- 作成した計画に基づき介護サービスを提供すること
- 計画の進捗状況を3ヶ月に1回以上評価し、必要に応じて見直すこと
連携先は、訪問リハビリテーション事業所・通所リハビリテーション事業所・リハビリを実施している医療機関のいずれかに限られます。
参考:厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
⚠ ICTのみでの対応は加算Ⅱの要件を満たしません。
動画確認やオンライン会議だけのアセスメントは、生活機能向上連携加算(Ⅱ)の算定要件を満たしません。専門職の施設への直接訪問が必須です。
動画確認やオンライン会議だけのアセスメントは、生活機能向上連携加算(Ⅱ)の算定要件を満たしません。専門職の施設への直接訪問が必須です。
4. 計画書をどう準備するか
グループホームには「個別機能訓練計画書」の様式が介護報酬の要件として定められていません。実務上の対応は次の2つに分かれます。
図解:計画書の対応方法
生活機能向上連携加算(Ⅱ)を算定したい
↓
外部PTのアセスメント結果を
どの計画書に落とし込むか?
どの計画書に落とし込むか?
↓
制度上の基本
共同生活介護計画に組み込む
認知症対応型共同生活介護計画の中に生活機能向上の目的・内容を記載する形。告示上はこれが基本。
自治体によって可能なケースあり
個別機能訓練計画書を別途作成
実態として多くの施設が採用。ただし自治体の判断によって異なるため事前確認が必要。
⚠ 個別機能訓練計画書を別途作成する対応は、管轄の市区町村・都道府県によって認められないケースがあります。算定前に必ず確認してください。
PTmateでは独自のシステムにより、外部専門職のアセスメント結果を計画書へ落とし込む作業を効率化しています。計画書の形式についても、導入前の自治体確認をサポートしています。
5. 算定率7.6%が示すもの
グループホームにおける算定率は約7.6%(2019年10月時点)です。通所介護の3.1%と比べれば相対的に高いものの、依然として大多数の施設が未算定の状態にあります。
図解:生活機能向上連携加算の算定率(サービス種別比較)
⚠ サービス種別でトップクラスの算定率でも7.6%。90%超の施設がまだ動いていないのが現状です。
出典:厚生労働省「介護サービスにおける機能訓練の状況等に係る調査研究一式」(2019年10月時点)
この数字をどう読むか。グループホームは、小規模で閉じた環境になりやすい事業形態です。外部の専門職が日常的に出入りする機会が少なく、ケアの判断が施設内で完結しがちです。それは運営のしやすさにつながる半面、「自分たちのやり方が正しいのか分からない」という不確かさを生みやすい構造でもあります。
算定しているのは、外部の目を積極的に取り入れようとしている施設です。
生活機能向上連携加算の算定という行為は、専門職の評価を受け入れ、自施設のケアを問い直す意思表示でもあります。7.6%という数字は、裏を返せば「本気でケアの質を問いたい施設にとって、先行できる余地がまだ十分ある」ことを示しています。
生活機能向上連携加算の算定という行為は、専門職の評価を受け入れ、自施設のケアを問い直す意思表示でもあります。7.6%という数字は、裏を返せば「本気でケアの質を問いたい施設にとって、先行できる余地がまだ十分ある」ことを示しています。
6. 実務上の注意点
- 加算(Ⅰ)との重複算定は不可。(Ⅱ)を算定する場合、(Ⅰ)は同時に算定できません。
- 3ヶ月に1回の見直しが必須。計画の定期的な評価と更新が算定継続の条件です。
- 計画書の形式は自治体に確認。共同生活介護計画への組み込みか、個別計画書の別途作成かは管轄自治体の解釈によって異なります。
この記事のまとめ
- グループホームは算定対象。単位数・連携要件は他サービスと同等
- 計画書の形式はグループホーム特有の論点。自治体確認が必須
- 算定率7.6%は「先行できる余地がある」という意味でもある
- ICTのみのアセスメントでは加算Ⅱの要件を満たさない
参考資料
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(令和6年1月22日)・厚生労働省「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
・厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
・厚生労働省「介護サービスにおける機能訓練の状況等に係る調査研究一式」(2019年度)
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