前回(第11回)では、介護保険制度における「自立支援」の定義と考え方を整理しました。今回は、自立支援・重度化防止という方向性に関連する介護報酬加算を、施設種別ごとに整理します。

「どの加算が自分の施設で算定できるのか」「生活機能向上連携加算はほかの加算とどう違うのか」という疑問を持つ施設長・管理者の方を対象に、公的資料をもとに概要を整理します。各加算の詳細な算定要件については、厚生労働省の告示・通知を直接ご確認ください。

本記事の根拠資料
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(令和6年1月22日)
・厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」
・厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」

自立支援・重度化防止に関連する主な加算

介護報酬には、利用者の身体機能の維持・向上や生活機能の改善を目的とした加算が複数あります。代表的なものを以下に整理します。

生活機能向上連携加算Ⅱ
200単位/月(併算定時100単位)
外部リハビリ専門職との連携により、利用者の生活機能向上を図ることを評価する加算。外部専門職による訪問評価・計画作成・情報共有が要件。詳細は基礎編・第1回を参照。
個別機能訓練加算
通所介護 Ⅰイ:56単位/日 など
機能訓練指導員が個別の訓練計画に基づき機能訓練を行うことを評価する加算。通所介護・特養・特定施設等が対象。単位数はサービス種別・区分によって異なります(通所介護のⅠイは56単位/日、Ⅰロは76単位/日、Ⅱは20単位/月など)。
ADL維持等加算
Ⅰ:30単位/月、Ⅱ:60単位/月
一定期間のADL(日常生活動作)の維持または改善の度合いが一定水準を超えた事業所を評価するアウトカム加算。バーセルインデックス(BI)による評価とLIFEへのデータ提出が必要。通所介護・特養・特定施設・認知症対応型通所介護等が対象です。
科学的介護推進体制加算
サービス種別により異なる
利用者の状態等に関する情報をLIFE(科学的介護情報システム)に提出し、フィードバックを活用することを評価する加算。令和3年度改定で新設。単位数はサービス種別で異なり、通所系ではⅠ40単位/月・Ⅱ60単位/月、施設系ではⅠ40単位/月・Ⅱ60単位/月(介護老人福祉施設のⅡは50単位/月)などとなります。

施設種別ごとの算定可否

各加算がどの施設種別で算定できるかを整理します。算定要件の詳細は施設種別ごとに異なります。以下はあくまで概要の整理であり、正確な要件は厚生労働省の告示・通知を確認してください。

加算名 通所介護 特養 グループホーム 特定施設
生活機能向上連携加算Ⅱ
個別機能訓練加算
ADL維持等加算
科学的介護推進体制加算
⚠ 上記は概要の整理です
各加算の算定対象・要件は告示・通知で詳細に定められており、施設の種別・規模・人員配置によって算定可否が異なります。実際の算定にあたっては、必ず最新の厚生労働省資料および都道府県・市区町村の指導に基づいて判断してください。

各加算の性格の違い

これらの加算は、目的・仕組み・評価軸がそれぞれ異なります。

加算名 評価の軸 主な特徴
生活機能向上連携加算Ⅱ プロセス評価 外部専門職との連携・評価・計画作成というプロセスを評価。算定には外部リハビリ専門職との契約が必要
個別機能訓練加算 プロセス評価 機能訓練指導員による個別計画の作成・実施を評価。施設内の人員配置が要件に関わる
ADL維持等加算 アウトカム評価 ADLの実際の維持・改善結果を評価。一定期間後のBIスコアの変化(調整済ADL利得)が算定の可否に直結する
科学的介護推進体制加算 プロセス評価 LIFEへのデータ提出とフィードバック活用を評価。利用者全員が対象になりやすい
「プロセス評価」と「アウトカム評価」の違い
プロセス評価は「何をしたか(手順・体制)」を評価する仕組みです。アウトカム評価は「どんな結果が出たか」を評価します。ADL維持等加算は後者にあたり、実際にADLが維持・改善されたかどうかが算定の可否を左右します。生活機能向上連携加算Ⅱはプロセス評価であり、外部リハビリ専門職との連携・計画作成という手順を踏むことが要件になります。

生活機能向上連携加算と他加算の関係

生活機能向上連携加算Ⅱと個別機能訓練加算は、基礎編・第6回で詳しく整理したとおり、一定の要件のもとで併算定が可能です。個別機能訓練加算をすでに算定している施設が生活機能向上連携加算Ⅱを追加する場合、計画書の統合運用などを含めた実務上の整理が必要になります(この場合、生活機能向上連携加算Ⅱは100単位/月となります)。

科学的介護推進体制加算はLIFEへのデータ提出が要件に含まれており、ADL維持等加算との親和性が高いとされています。各加算の組み合わせによる収益効果は、基礎編・第5回のシミュレーションも参考にしてください。

💡 生活機能向上連携加算ⅠとⅡの違い
生活機能向上連携加算にはⅠとⅡがあります。Ⅰは外部専門職がサービス提供場面やICT(動画・テレビ電話等)を通じて利用者の状態を把握し助言する形(訪問なし)、Ⅱは外部専門職が事業所を訪問して評価・計画作成を行う形です。両者の併算定はできません。単位数はⅡのほうが高く設定されています(詳細は基礎編・第1回参照)。

まとめ

自立支援・重度化防止に関連する主な加算として、生活機能向上連携加算Ⅱ・個別機能訓練加算・ADL維持等加算・科学的介護推進体制加算があります。それぞれ評価の軸(プロセス/アウトカム)・対象施設・要件が異なります。

自施設でどの加算が算定可能か、どの組み合わせが実務上現実的かを判断するには、施設種別・人員配置・現在の算定状況を整理したうえで検討することが必要です。

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参考資料
・厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(令和6年1月22日)
・厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」
・厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」
・厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」